大阪万博で関西GRP0・5%押し上げ 経済効果試算

11/26(月) 20:09配信

 りそな総合研究所は26日、大阪開催が決まった2025年国際博覧会(万博)の経済効果について、同年の関西(近畿2府4県と三重県)の実質GRP(域内総生産)を0・5%程度押し上げそうだとの見通しを公表した。

 政府などが公表している想定来場者数2800万人(国内2500万人、海外300万人)、建設費0・2兆円、運営費0・2兆円、来場者による消費額0・9兆円を基に推計した。

 試算によると、全体の経済波及効果は関西で1・3兆円、全国で2・2兆円。関西では建設による効果が0・3兆円、開催による効果が1・0兆円となる。建設効果は数年に分散し、開催効果は25年に発生する。

 関西の実質的な押し上げ効果(付加価値ベース)は建設効果0・1兆円、開催効果0・6兆円で、それぞれ関西のGRPの0・2%、0・7%に相当する。開催効果から、万博を開催しなければ発生したはずの消費を差し引いた結果、正味のGRP押し上げ効果は0・5%程度とした。

 りそな総研の荒木秀之主席研究員は「万博のコンテンツ次第で、さらに伸びる期待がある。特に訪日客が想定より増える可能性がある」ている。

大阪万博、会場建設費は「議論まだ」 アクセスも課題

 

 2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致が実現し今後、経済界が直面する課題の一つは会場建設費の負担だ。経済効果が1.9兆円と見込まれるなか、約1250億円と試算される建設費は、国、地元自治体(大阪府大阪市)、民間が3分の1ずつ負担することで合意しており、経済界は約400億円を求められている。

 とりまとめ役の関西経済連合会の松本正義会長は、関西を中心に全国の企業に事業規模や業績に応じた負担を要請する「奉加帳方式」を軸にせざるを得ないとみている。

 ただし、企業の東京への本社移転により大阪の「地盤沈下」が指摘されるなか、関西だけでは限界があるのも事実。鍵を握るのは東京の有力企業を多く抱える経団連だ。中西宏明会長は7月、大阪市内での会見で、会場建設費の負担方法をめぐって「まだ内部で議論しておらず具体策は何も申し上げられない」と語るにとどまった。関経連は今後、経団連や政府との協議を加速させる方針だ。

 もう一つの課題は、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)へのアクセス。現在は此花区のもう一つの人工島・舞洲(まいしま)から「夢舞(ゆめまい)大橋」を渡るか、隣の人工島・咲洲(さきしま・同市住之江区)から「夢咲(ゆめさき)トンネル」を抜けるかに限られる。

 大阪府・市と経済界が昨年8月にまとめた「夢洲まちづくり構想」によると、道路は夢舞大橋を現在の4車線から6車線に拡幅。鉄道は大阪メトロ中央線を咲洲コスモスクエア駅から約3キロ延伸し、夢洲の中央部に新設する「夢洲駅」(仮称)と結ぶ。府・市は大阪メトロの延伸と夢洲駅の建設工事を約540億円と試算。夢洲の万博会場の隣接地に誘致を進める統合型リゾート施設(IR)の開業目標とする2024年度までに整備したい考えだ。

 また、京阪ホールディングスは、京都方面から大阪市中心部の中之島を結んでいる中之島線天満橋中之島)について、大阪メトロ中央線九条駅まで接続する延伸案を検討。JR西日本桜島線(西九条-桜島)を舞洲経由で夢洲まで延伸することを検討している。

 ただ、JR西の来島(きじま)達夫社長は今月14日の定例会見で「万博誘致のみをもって延伸ということではない」と説明。投資額や採算性などから、開催期間が限られている万博ではなく、夢洲へのIR誘致が前提となるとの考えを改めて示した。